上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
清美は多忙を極めていた。
日本の経済が不況から抜ける光明が見えてきたのだろうか?昨年末から依頼が増えて、超多忙な日々を過ごしていた。
そんな多忙になると、ちょっとストレスも溜まってくる。
清美は、ストレス解消にちょっと出会い系にでも書き込んでみようと、安易な気持ちで書き込みをした。
日々の仕事は、忙しい。
ふと思い出して、フリーアドレスのメーラーを開いてみると・・・。
そこには山のようにメッセージがあった。
真面目そうなメールには真摯に返信をし、一行メールは黙殺した。たくさんのメールが来ることや返信をして、清美のストレス解消にもなった。
そうこうしているうちに、親子ほど年の離れた青年、Y君が丁寧だが是非逢いたいと熱烈なメッセージを送ってくれていた。
清美は考えた。
歳が違えば考え方も違う。これだけ歳が離れていると無理だろうと思い丁重に断った。
それでもY君は、熱心にメールをしてきた。
彼は、新宿か四ツ谷あたりで逢いたいと言ってきた。
ちょうど、来週の週末、早く仕事が終わる予定の客先が四ツ谷にあった。
彼は「体の関係」を求めるのだろうが、清美は逢ってがっかりしたらいけないないからお茶でもしましょうと、なだめるような返信をし、地下鉄丸ノ内線の四ツ谷駅の改札で待ち合わせることにした。
その日の仕事は順調だった。
総勢15名近くの参加があり、辛うじて用意した名刺が間に合ったことに清美は安堵していた。
滞りなく予定通り仕事を終え、約束の時間に待ち合わせ場所に悠々間に合った。
駅に着いた頃、小雨が降りだした。清美は雨を避けるように、自動販売機のある屋根の下で待つことにした。
予定の時間まで、あと10分少々そんな時だった。
「お疲れ様です。今日はどうもありがとうございました。」
その声に清美が振りむくと、そこには若い男が微笑んで立っていた。
一瞬Y君かと思ったが、よくよく考えれば彼は自分の顔を知らない。
よくよく見ると、今日初めて出向いた四ツ谷の客先で、一番後ろの隅に座っていた学卒の新入社員だった。
「あぁ・・・今日はお疲れ様でした。また来週来ますので、よろしくお願いします。」
清美は、その男に向かって挨拶をした。
すると彼は清美に尋ねてきた。
「ここで誰かを待っているのですか?」と。
清美は少々困ったが表情に出さずに答えた。
「ええ。ちょっと人と待ち合わせを。」
すると彼は答えた。
「奇遇ですね。実は僕も待ち合わせで・・・。新卒ってまだ残業まですることもないですし、時間が自由になるんです。」と。
お互いに、待ち人がいるので、私たちは距離を置いて、お互いに待つことにした。
僅かな待つことにした。待ち時間の間に、小雨は本降りになっていた。
続く