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2人を乗せたタクシーは、いつもならまだ明るさの残る街を雨に打たれながら走っていた。
国道20号から外苑西通りに入り、大した渋滞もなかったがタクシーは靖国通りに行かずに細い裏道へとハンドルを切った。しばらく走ると、小さな公園があった。Yはそこでタクシーを止め、清美は黙って一緒に降りた。
ここは・・・
いえ・・・こんなところで、雨の中、何かしようというのか・・・
清美は不安だったが、Yは公園に入る素振りも見せずに、ついて来るようにと言って歩き始めた。
夕方のこのあたりは、特段人通りも多くなく、ほとんど言葉を交わさずに清美はYの後を歩いた。
4,5分歩くとそこにはホテルがあった。
Yは清美と並んで、そのホテルに入った。
外でなくてよかった・・・
清美は、率直にそう思った。鍵を手にし、エレベータに乗った時、Yが口を開いた。
「いきなりホテルまでって、タクシーには言えないでしょう?」
なるほど。
近くの公園で降りたのは、彼の心遣いだと清美は理解した。
部屋に入り、Yはお茶でも飲みましょうと、冷蔵庫の近くを探しコーヒーを見つけて湯を沸かし始めた。
2人は丸い小さなテーブルを挟んで座った。そして湯が沸くまでの間、少し話しましょうとYが言った。
「まさか、ネットで約束をしていた人が、その日仕事で生まれて初めて逢う人だなんて、
正直びっくりしましたよ。でも、それが清美先生でよかったですよ。
僕、一番後ろの席だったから、先生を見ながら、ちょっとエロい想像をしまって。」
そう言って、彼は少しはにかみながら笑みを浮かべた。そしてまた言葉をつないだ。
「これって、運命だと思いませんか?そういうの信じませんか?」
清美は、答えようがなくあいまいな返事をした。Yは更に話を続けた。
「先生の言うとおり、一度きりは約束しますよ。僕からはね。」
清美は、彼のこの言葉の意味がわからない。尋ねようとすると湯が沸いたと彼は席を立ち、コーヒーを淹れてくれた。
「今日は、時間の許す限り、僕の言ううとおりにしてもらいますよ。それで秘密を守ることを約束します。何なら一筆書いてもいいですよ。」
彼は、そう言って自ら手帳に丁寧に字を書き、それをちぎって清美に渡した。
清美は、真面目そうな彼を信じたが、それを大事に上着のポケットにしまった。
コーヒーを飲み終え、彼が口を開いた。
「それでは、先生、一度だけのつもりで僕の思いを遂げさせてもらいますよ。立ってください。」
清美は言われるままに立ち上がった。そして、スーツのパンツを脱ぐように言われ、観念した清美は静かにパンツを脱いでハンガーにかけた。
振り向くとYが短い紐を持って待ち構えていた。
その光景に、清美の心が一瞬冷えて固まった。
続く